「バリ取りと、真剣に向き合うパートナーと共創したい」
その想いに、本気で応えてくれたのがDCDでした。
株式会社スギノマシン
武藤充様(中央)
宮内慎也様(左端)
藤城隆浩様(中央上)
浅賀祐紀様(左上)
株式会社大伸社コミュニケーションデザイン
プロデューサー 佐野悠莉(右端)
プロデューサー 内山祐佳里(右上)
バリ取りに関連する、すべてを受け入れられる場所を創りたい。
バリ取りに関する世界で唯一の施設「デバラボ」について教えてください。
武藤様
まず「デバラボ」はデバリング・ラボの略です。自動化のニーズが高まっているバリ取り技術・商品の、研究開発やテストを1ヶ所に集約した、世界唯一の施設です。デバリングは、樹脂や金属の加工時に発生する不要な突起(バリ)を除去する「バリ取り」を意味する英語で、ラボはその「研究施設」になります。
この「バリ取り」工程は、付加価値につながりにくいものですが、作業しないと製品が完成しないため、これまではコストを抑えながら人の手で取るのが一般的でした。しかし、製造業では人手不足が顕著で、バリ取りという労働環境が厳しい作業に人員を確保することは難しい状況なんです。
ただ、いざ「バリ取りを自動化」しようにも属人化していて定量化ができてない。だったら、バリ取りに関連する設備や技術者を1ヶ所に集めて、すべてを受け入れられる場所を作れたら——。そんな発想から生まれたのが、「デバラボ(バリ取り研究所)」なんです。
「デバラボ」開設の背景には、どんな課題があったのでしょうか?
武藤様
当社は、取り扱う商品がすごく多いのですが、商品単体での提案に陥りやすいという課題がありました。「モノ売りからコト売りへの転換」が求められる中で、私自身、お客様の課題をベースに提案する方が、豊富な商品ラインナップを活かせるという想いがありました。
内山(DCD)
当時「デバラボ」を通して、製造現場以外の人との接点も持ちたいということもおっしゃっていましたね。
武藤様
その構想もありましたね。バリ取り自動化は、製造現場の方だけでは決められないことが多い。だから、製造現場の方もさることながら、商品がどうあるべきかを知っている人=設計者とも接点を持ちたかった。「デバラボ」に来ていただく方は製造現場の方が多いですが、私たちの考えに共感して、設計者の方と一緒に来ていただけるケースも増えていますね。
「デバラボ」というネーミングは海外の方も意識されていると聞きました。
武藤様
全世界で同じ言葉、同じ発音のものができたら、それは「ブランディング」と考えていました。それに「バリ取り」や「バリ」と名の付く商品はすごく多い。だから、使い古されてきた言葉ではなくて、国内外で通じるものにしようと思っていました。
藤城様
ロゴマークも敢えてカタカナなんですけど、武藤さんの、デバラボを全世界で同じように呼んでほしいという思いが落とし込まれていて、面白いものになっています。
佐野(DCD)
実際に、海外から来られた方がいらっしゃるとか?
武藤様
そうなんです。「デバラボ」のロゴはカタカナがモチーフで、海外の方には読めないんですが、フランス人のエージェントは、模様に見えて「すごくおしゃれ」と言ってくれましたね。
内山(DCD)
武藤さんが最初に言っていた「デバラボ」のグローバル展開に向けた狙いがハマりましたね。
「バリ取りと、真剣に向き合うパートナーと共創したい」DCDは、まさにその想いを体現してくれました。
プロジェクトに取り組むにあたって、パートナー企業に求めていたことを教えてください。
武藤様
白紙からはじまるプロジェクトだったので、一番は伴走してくれること。また大伸社コミュニケーションデザイン(以下、DCD)は、藤城さんから紹介されたばかりだったので、まだ形もないバリ取り研究所を具現化するパートナーとして、不安も期待もありました。
藤城様
DCDさんとは「デバラボ」プロジェクトの前からお付き合いがあって、その頃から提案の質は高いですし、積極的に取り組む姿勢にも好感が持てて。色々と一緒にやってみたいなと思っていましたね。
内山(DCD)
実際に「デバラボ」プロジェクトがスタートして、DCDのことをどう思われていましたか?
武藤様
デザインやプロマネなど役割が明確で、各自が責任を持ってやってくれるというのが最初の印象です。それでも、自分のやりたいことを理解してもらうのは難しくて。そんなときに「静岡行きます!」と言ってくれたのはよかったですね。掛川工場に来てくれたことで、より話が進んだなと感じました。
内山(DCD)
私たちもバリ取り研究所のお話をいただいたとき、ワウワクしたのを覚えています。武藤さんが思いの丈を、ホワイトボードに勢い良く書き記していく姿が忘れられないですね。その際に武藤さんが言っていたのは、「バリ取りに本気で向き合う人たちと一緒に作りたいんだ」ということ。それを聞いて、改めて私たちも一緒に創り上げたいとメンバーと話しながら帰ったのを覚えています。
武藤様
まさにその通り体現してくれましたね。デザインもそうですけど、無茶な要求もね(笑)。「デバラボ」も答えのないお客様と話し合いながら、どれだけ提案ができるかが勝負だったりします。10個提案しても、採用されるのは1個だけ。その1個を見つけるためには、満足のいくまで提案していくしかない。そういう志みたいなものをすごく感じましたね。
DCDの書籍を参考に、自社内で「ブランディング」を推進。ワークシートが助けになった。
ラボ開設の動きに合わせて、「デバラボ」のブランディングも進められたそうですね?
武藤様
私は元々開発者ですが、当時からマーケティングとブランディングの重要性を感じていました。藤城さんとはBARRIQUAN(バリカン)という商品で、リブランディングを行って売上が倍ぐらいになっている。そのためマーケティングとブランディングは大事という考えは初めから一致していました。
藤城様
そうですね。BARRIQUANでの経験から「デバラボ」もブランディングを意識していました。とはいえ、1つの商品ではなく、商品をまたいでのブランディングというのは難しくて。悩んでいた折に、内山さんから「手にとるように分かるブランディング入門」をいただいたんです。それを私のメンバーの浅賀さんに共有したところ、「これだったらできるかもしれない」と盛り上がりました。
弊社の書籍のどんなところが役立ったでしょうか?
浅賀様
全部、参考になりましたけど、一番はワークシートですね。このワークシートがあったから、こういうフレームでやればいいというのがわかって、すごく助かりました。また、ブランディングの情報はネットにもたくさんありますが、一冊の本で体系的に整理されているため、とても理解しやすかったです。
藤城様
私が武藤さんと話していたのは、シンプルでわかりやすいということ。ブランディングを社内で説明する際は、書籍の中の資料を使わせてもらいました。「デバラボ」の活動があったことで、会社としてもよりブランディングと向き合わなければという想いもあって、まさに動いているところでもあります。誰が書いたかわからない本ではなく、DCDの書籍というのがあったので、全部信じてしまいますね。
内山(DCD)
書籍に付箋を貼ってまで使っていただいて、本当に嬉しい限りです。
最終的に「デバラボ」のブランドメッセージ「バリ取りを考えるすべての人に閃きを」は、どのように決まったのでしょうか?
武藤様
まだ「デバラボ」のブランドメッセージに物足りなさを感じているときに、女性社員から「閃き」という言葉が上がって、みんながハッとなった。「デバラボ」はライブ感を大事にしている場所。ミーティングエリアがあって、すぐ横にラボがあって、話したことを即実現できる。閃きを大切にするし、閃くために話したりテストしたりする「それがデバラボだよね」と言ったとき、色んなものが腑に落ちたんですよ。
浅賀様
コンセプト出しは「デバラボ」のミーティングエリアで行ったのですが、壁面のホワイトボードにアイデアやキーワードを書き出して。最後に「閃き」の言葉が出たのは、アイデアを拡散する場として御社と一緒に創り上げた、この空間が後押ししてくれた気がしますね。
約10社のメディア掲載、約60社の案件につながり、コト売りの第一歩に。
こだわり抜いた末に開設された「デバラボ」ですが、社内外の反響はいかがですか?
武藤様
反響という点でいうと、2023年7月20日の開設から11月までは予約がいっぱいで、40社ぐらいの方が来られましたね(2024年2月現在)。年末と年明けは落ち着いていましたが、また2月は増えていますね。
佐野(DCD)
記者会見をされて、その反響もすごかったとお聞きしました。
武藤様
これまでの記者会見では、質疑応答は10分程度で終わることが多かったのですが、「デバラボ」のときは、40分以上かかって、「もう打ち切ります」というところまで質問が止まらなかったんです。
浅賀様
中日新聞、静岡新聞、日経系のウェブメディアも来て下さいました。私が知っている中でも、かなりの反響があったと思います。
武藤様
そうですね。バリ取りには北島教授という権威がいるのですが、その方には3回ほど来ていただいて、私たちの取り組みに共感できるし、すごく嬉しいということを言ってくださいましたね。他にも、若い企業から老舗企業まで、海外の方も含めて、名だたる企業が来てくださっています。
佐野(DCD)
「〝バリ取りを考えるすべての人”に閃きを」のコンセプト通りの反響ですね。
武藤様
社長が明言しているとおり、「デバラボ」は、共通の課題をみんなで解決していこうというプロジェクトです。それができるのも、最初に「デバラボ」が掲げたコンセプトがこの空間で体現できているから。御社と一緒に作った「デバラボ」のブースがあってこそです。
内山(DCD)
すごく嬉しいコメント!少しでも貢献できていたなら光栄です。
武藤様
ここに来てくださったお客様は、私たちが本気で向き合っていることを感じ取ってくれるので、期待感が高まった状態で打ち合わせができているんです。建設的な話ができるのは、やっぱり「デバラボ」のこの空間がそうさせているのだと思います。
「デバラボ」を1つのモデルケースにして、次のステージへ。
現在の活用状況や今後の展望について教えてください。
武藤様
いまは開所したばかりで、多くのメディアにも取り上げられ、営業員もお客様に紹介しやすい状況にあると思います。ただ、そうした恩恵も少なくなってくるので、私たちの活動に共感いただける方をどんどん呼び込んでいきたいですね。さらに「デバラボ」を1つのモデルケースとして成功させて、拡張したり、はたまた新しいプロジェクトに発展させたりしていきたいです。そのためにも、まずは「デバラボ」を成功させないといけないと思っています。
今後、DCDに期待すること・共創してよかった点はありますか?
武藤様
今回、社内では10人のメンバーが携わって、そこに御社のメンバーが入ってくださって、最後までチームとチームの共同作業ができたのは非常によかったと思います。各自が主体性を持って進めるなかで、自分たちだけではできないことを御社の皆さんがサポートしてくださったことで、メンバーの成長にもつながったと思います。
藤城様
やっぱりDCDは質が高いですね。それも深くて広い。1つのことに対して、2倍、3倍の提案を返してくれるというのが魅力ですね。実際に学びになることも多いので、今後も一緒に取り組んでいきたいですね。
内山(DCD)
ありがとうございます!
私たちこそ、デバラボプロジェクトを通して、新しい発見や学びを多く得ることができ、成長にも繋がったと感じます。これからも皆さんと一緒に、驚きとワクワクを創り出していけたら嬉しいなと思います!