「当社のありたい姿」を共に考えてくれたDCD。
私自身もブランディングに対する意識が大きく変わりました。
KLASS株式会社 取締役 総合企画室長 頃安憲司様(中央左)
株式会社大伸社コミュニケーションデザイン
プロデューサー 藤澤大仁(左端)
クリエイティブディレクター 井上浩一 (中央右)
プランナー 金子大貴(右端)
予想を超える提案から、当社の未来を考えてくれるパートナーだと実感
本プロジェクトは、実施期間が3年と長期にわたるため、時系列で振り返りながらお話をお伺いしていきたいと思います。まず、当社に初めてお仕事をご依頼いただいた時のことを、当時メンバーであった井上からお話しさせていただきます。
井上(DCD)
一番初めにお声がけいただいたのは、2016年頃のコーポレートサイトリニューアルのコンペでした。
当時お話をいただき、極東産機株式会社様(現・KLASS株式会社)について調べていく中で、「職人技を自動化する」という事業内容に非常に魅力を感じましたが、一方でその魅力をうまく社外に発信できていないのではないか、という印象を持ちました。そこでプレゼン時に、サイトを整理するだけでなく、ブランドコンセプトも合わせてご提案させていただき「つなぐ。ツクル。」という現在のブランドステートメントを策定しました。
そのような提案を受けて、どのように感じられましたか?
頃安様
依頼した際は、コーポレートサイトを綺麗に制作していただけたらいい、という風にしか考えていなかったため、コンセプトも含めた提案をいただいたのには驚きましたし、とても魅力的に感じました。同時に、当時まだ社会人歴が浅かった私は、こんな大掛かりなことが本当に必要なのだろうか…と感じたのを覚えています。
ですがご提案内容を聞く中で、「私たちの企業が将来的にどうあるべきか」という部分まで考えて体現しようとしてくださる大伸社コミュニケーションデザイン(以下、DCD)を選ぶべきだと、意識が変化していきました。
そこから弊社にご依頼いただける機会が増え、2019年から開始されたCI再構築の際にもご相談をいただきました。CI再構築を実施すると踏み出されたきっかけは何だったんでしょうか?
頃安様
一つ目のきっかけは、75周年という節目を控えていたこと。そして二つ目は上場を経て、より社内外に自社について発信をしていく機会が増える中で、「掲げている理念体系が既存の内容でいいのか」「社名と事業内容が紐づいていないのではないか」という課題を感じていたためです。
そこで、社員を巻き込みながらCIを再構築する必要があると考え、御社にお声がけをさせていただきました。
井上(DCD)
それまでは私と頃安様で進める案件が多かったのですが、社内をうまく巻き込みたい、というご要望があったため、弊社の中でも社員の方々と共に作り上げるというスタイルが得意なメンバーとして新たに金子をアサインし、プロジェクトがスタートしました。
コロナ禍の影響を加味したアジェンダで、社員が楽しめるワークショップを実施
CIの再構築を進めるにあたって、DCD側とKLASS様でそれぞれ気をつけていたことはありますか?
金子(DCD)
プロジェクトの開始時は「CI再構築とは一体どのようなことを指すのか」という部分のすり合わせを丁寧に行いました。会社様によって、ビジュアルのみを変えるのか、軸となるブランドコンセプトの部分にも手を加えるのか、などやり方は異なるため、ゴールを明確にすることは意識していました。
お話しした結果、CI(Corporate Identity)に必要となる、MI(Mind Identity=理念統一)、VI(Visual Identity=視覚統一)、BI(Behavior Identity=行動統一)のうち、まず初めに根本となるMIの作成を実施することに決定しました。
頃安様
私はこのプロジェクトにおいて、「社員と一緒に作り上げる」という点を非常に意識していました。そのため、社内でCI再構築プロジェクトのメンバーを募集。予想を超えた数の応募があり、12名の社員が参加してプロジェクトが進んでいきました。この機会を、社員がこの会社の未来や働く意義について、考えるきっかけにしてほしかったのです。
金子(DCD)
「社員と一緒に作り上げる」ために、どのようにして「社員の意見を引き出すか」という点もポイントでしたね。
企業理念を再構築するにあたって、社員視点での言葉を組み込むために対面でのワークショップを予定していましたが、コロナ禍となりオンラインでの実施となりました。オンライン会議にもまだ慣れない時期で、みなさん不安を感じるだろうと考え、ワークショップはなるべく話しやすいテーマを盛り込むことで議論が活性化するように心がけました。発言のハードルを下げるために、ファシリテーター別に部屋を分ける工夫も行い、話しやすい雰囲気作りに気をつけていました。
実際にワークショップに参加されてどのように感じられましたか?
頃安様
私を含めて社員全員がとても楽しんで取り組んでいましたね。参加メンバーから「とても楽しかった」「ワクワクした」という感想ももらい、やってよかったなと感じました。
特に印象的だったのは「あなたが大事にしている価値観は何ですか?」というワークです。仕事で関わる際は物静かな人でも、実は熱いものを持っていたりと、社員の知らない一面を見ることができたのはとても面白かったです。
ワークショップを行った後、抽出した要素をMission/Belief/Valueにまとめていき、MBVが完成しました。まとめる際はどのようなことを意識されていましたか?
頃安様
実施前は、正直どんな話が出るのか想像がつきませんでしたが、社員から予想以上に素敵な言葉がたくさん出てきたため、言葉のエッセンスは残しながら、どうコンパクトにまとめるか、試行錯誤しましたね。
金子(DCD)
何を残すか、というのはとても難しかったですよね。現状の社長様の言葉をどう残すのか、ワークショップで出てきた言葉をどう組み込むのか、の取捨選択をした上で、さらなる企業の成長を感じさせる企業理念となるように気をつけながら進めていきました。また行動指針では、社員と経営の両者の視点で一致したものを残し、以前に比べて親しみやすいイメージとなるように意識しました。
このようなMIの構築に携わる中で何か意識の変化はありましたか?
頃安様
他社が打ち出している理念体系などは意識的に確認するようになりました。初めて知る企業であれば、どんなことを言葉として出しているのか、見るようにしています。
藤澤(DCD)
最近は特にそういったメッセージを打ち出している企業が増えていると思います。株主や投資家向けの、外向きの言葉だけでなく、今回のKLASS様のようなインナーブランディングを意識した、社員に向けて「共にこういう姿を目指そう」というメッセージは以前よりも重要になってきていますね。
ロゴの決め込みに難航する中、バロメーターを提示いただき最終決定へ
MBVを作成した後に、今後さらなる事業拡大に向けて社名を変更することを決定されたKLASS様。弊社から社名を提案させていただいた際の印象はどのようなものでしたか?
頃安様
複数の案をいただいた中で、「KLASS」というネーミングに込められたさまざまな意味合いをお聞きし、いかに自分のものにするか、という部分を考えました。
今は「SS」に込められた「ソリューションサービス」という意味合いが特に気に入っています。社名変更の由来を社外に説明する際も、「『極東産機』から連想される『産業機器』というイメージから、さらに進化し、産業機械にとどまらない『ソリューションサービス』を提供していきます」とお伝えしており、これからの当社を表す良い社名になったと感じています。
井上(DCD)
歴史ある会社の社名を提案することは非常にやりがいを感じたとともに、大きな責任を感じる時間でもありました。
社名が決定した後、ロゴの制作が進む中で、難しかったと感じられた点はありましたか?
頃安様
ご提案いただいたものの中から絞り込む、という作業は非常に難しかったですね。
井上(DCD)
初めに提案させていただいた際は、今までのロゴを感じさせる「K」を用いたもの、形の印象を大きく変えたもの、文字だけのもの、などさまざまなバリエーションで、計40案ほどお見せしました。
頃安様
数多くの案の中からある程度絞り込み、その後社員にアンケートを実施したり、社内のデザイナーにも作成してもらって候補としたり、多くの時間をかけてじっくりと決めていきました。
ただ、何を基準に最終決定していいかがわからず、最後の決め込みに時間がかかってしまいました。そんな時に金子さんからCI構築フェーズを軸とした、ロゴのバロメーターをご提示いただけたのはとても助かりました。私はこのプロジェクトを通して、「主観的になりがちなことを客観的に判断する」と意識していたため、バロメーターは客観的に判断するいい材料になりました。新たなロゴを決めるというのは初めてのことで進め方もわからなかったため、DCDのお力を借りることができてよかったです。
実際に変更された社名とロゴについて、社内外の評価はいかがですか?
頃安様
とても評判がいいです。かっこいいね、という声も聞きました。また、ロゴの色味に関して、以前と同じく赤と黒を用いているため、以前の「極東産機」に愛着を持っている社員にも受け入れられやすく、いい判断だったと感じています。
今後さらに価値あるブランドとするために、まずは社内浸透に注力
リブランディングに関して今後の展開を教えてください。
頃安様
今後は、作成したガイドラインを社内でしっかりと浸透させていければと思っています。決まりだから守るのではなく、何のために作ったのかをしっかり理解した上で自ら行動に移したい、と社員に思ってもらえるよう、丁寧な説明を続けたいです。
実は社名変更から2ヶ月後に行った社員の意識調査でも少し変化が見られました。「社名変更によって会社全体が同じ方向を目指すようになったと思いますか?」という質問に、大半の社員が肯定的な意見を持っていたんです。会社全体で一つの方向を目指したい、という狙い通りに意識が変わっていると感じられて、とても嬉しかったですね。
金子(DCD)
私は本プロジェクトにおいて、考えていることをできる限り伝える、ということを大事にしてきました。これは、社名の変更やロゴの決定など、頃安様にとって勇気のある決断が数多く必要となる中で、少しでもその決断の手助けになりたいという思いからです。
そしてその決断の結果、社員の意識が目に見えて変化し始めているというのは、私自身非常に嬉しく感じます。
頃安様
ありがとうございます。具体的な施策にも展開していきたいと考えていまして、例えば人事考課の評価項目にMBVを組み込んだり、社員表彰にも行動指針に根付いた賞を作れればと思っています。
井上(DCD)
いかに社員に浸透させていくのか、が重要になりますね。そういった展開は非常に効果的だと思います。
藤澤(DCD)
このプロジェクトをさらに価値あるものにするには、おっしゃる通り、今後の動きがとても重要だと思っています。ブランディング、というのは、社名やロゴなどの見た目を変えて、ミッションやビジョンの言葉を考えて、終わり、というわけではありません。その後の企業成長につなげていくにはどうすればいいのか、という部分も、弊社でぜひお手伝いさせていただき、さらに価値あるブランドとなるようにご支援できればと思います。
頃安様
そうですね。今後は、一人でも多くの社員に「CIの再構築と、それに伴って社名変更がなされてよかった」と思ってもらえるように動いていきたいと思います。その際に、我々だけでは難しいこともあるかもしれません。そんな時はぜひ、DCDのお力をお借りできればと思っています。
井上(DCD)
ありがとうございます。ぜひ、今後のKLASS様の挑戦もご支援させていただければと思っています。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。