こんにちは。DCDの上平です。
「顧客ニーズ」や「イノベーション」、「ブランディング」の話になると、今や普通の単語として出てくる、「インサイト」。今日は、このインサイトについて少しお話しします。
当社グループのmctでは、このインサイト(ユーザーインサイト)のことを、単に「洞察」とは訳さず、「競合他社がまだ気が付いていない顧客ニーズ」や、「顧客自身が気が付いていないニーズ」と意訳しています。何れにしても、自社の価値がフィットする顧客ニーズを探す、それも競合他社がまだ気が付いていないニーズ(その意味で、顧客自身が「気が付いていなかったり」「諦めてしまっていたり」して「まだ表出していない」“ニーズ”)を見出す事ができれば、とても大きな成果に繋がる可能性が広がります。
こういうインサイトを発見するために、潜在ニーズを探る各種の定性調査を行うわけですが、その目的として、全く新しい製品やサービスの開発の他に、自社ブランドの見直しや再構築に使われてもいます。
企業ブランド調査というと、これまでは、顧客満足度調査やブランド意識調査を、アンケートで行うことが主でしたが、少し冷静になって考えると分かるのですが、企業ブランドは、その企業との過去に遡った多くの接点(タッチポイント)で形成されています。製品、Webサイト、各種広告、営業マン、店舗、展示会、研究所、工場、etc… そんな多くの接点を通じて、「何となく」出来上がってきた、その企業のブランドイメージを、5段階やフリーアンサーだけで答えて頂くことは、相当難しいことです。さらに、多くの研究でも明らかになっていますが、人間は全てのことを論理だけでは判断しておらず、感情や価値観・人生観が判断に大きくかかわっています。アンケートとフリーアンサーでは、そういう感情や価値観までは紐解く事はできません。
反面、深い定性調査のメリットは、心理面まで把握する各種ロングインタビューや観察などを行うことで、その企業との過去のどういう経験が、どのようなブランドイメージの形成に繋がっていったかが明らかになっていき、またプラスのイメージに繋がった経験が何で、マイナスのイメージに繋がった経験が何かまで分かるので、その後の具体的な改善活動やコミュニケーション戦略立案に役立てる事ができます。
以前、大手企業さんが、海外トップコンサルティング・ファームに顧客満足度向上のコンサルティングを依頼された時のレポートを見せて頂いた事があります。そこでも、5段階のアンケート調査が主で行われており、結果として、納期改善や、価格の見直し、営業の提案など、改善項目は上がっているものの、当たり前の域を出ていない結果になっていて、本当にこの結果に基づいた改善をすべきか、首をかしげておられました。
次回は、この事例から考えられるポイントについて、2つのチャートを使ってご紹介致します。
インサイト発掘の難しさと効用
https://www.daishinsha-cd.jp/blog/insight2/