弊社DCDではSDGsの一環として埼玉県立騎西特別支援学校のスヌーズレン教育を応援しています。先日、同校のスヌーズレンルームのリニューアルが完了したとの連絡を頂戴し、視察してきましたので報告させていただきます。
スヌーズレンとは、オランダ語の「くんくん匂いをかぐ」と「うとうとする」という2つの単語をあわせてつくられた言葉です。
1970年代にオランダの重度知的障害者施設で、障害を持つ方がもっと生活を楽しめるように「光、音、匂いなど」多様な感覚刺激でリラックスしたり楽しみを感じてもらうように始められました。
同校ではこの理念に基づき障害を持つ児童と介護する人が、心地よい環境の中で自由に探索行動を行える環境づくり、教育プログラムとしての活用を進められています。
この日は、スヌーズレン教育を研究されている同校の樺澤先生から活動の成果と今後の可能性についてレクチャーいただきました。
同校で男性教員の小さな更衣室を改装してスヌーズレンを実践できる部屋をつくられたのですが、この心地よい空間での体験とコミュニケーションにより、たくさんの発見と子どもたちの成長が見られたとのことでした。
「日常では生まれない児童生徒同士での関わりが起こった」、「自然に三項関係が構築され、コミュニケーションが生まれた」、「緊張感が解れ、好奇心が行動につながった」、「これらの体験によりできなかったことができるようになった」など、リラックスできる空間とユニークな感覚刺激が、子どもたちの成長と可能性を引きだすファクターになることを教えていただきました。
この考え方は、先生や介護する方にも「主体的な児童・生徒の自然な姿に出会うことで、主体的な学びについて肯定的な捉え方ができるようになる」、「共に体験することで指導や支援の工夫が広がる」など、良い変化をもたらしてくれます。
柑橘系の香りで満たされたスヌーズレンルームは、異なる感触が体験できる数種類のフロアマットが敷かれており、壁面に大きく映し出された海中の映像をはじめ、水泡を演出するバブルユニットやミラーボールからの放出されるカラフルなライトに包まれ、部屋に入るだけでもワクワクしてきます。
GBMはヒーリング音楽が流れており、柔らかな素材のビーズクッションやシアー生地でつくられたテントで、心を落ち着かせるような工夫もされていて、子どもたちはこの空間で、楽しく自由に心地よい時間を過ごしています。
教育現場では少しずつスヌーズレンの考え方が拡まってきています。ただ、教材教具を揃えるのも大きな費用がかかるため、校内に施設を整えるのは難しいのが現状です。本校ではクラウドファウンディングなどで費用の一部を補充することができましたが、まだまだ十分な環境ではありません。
私たちも微力ではありますが、コミュニケーションをデザインすることを仕事にさせていただいているものとして、スヌーズレンの浸透と子どもたちの成長に貢献させていただきたいと思います。
※ 本文、写真の一部は埼玉県立騎西特別支援学校樺澤徹先生のCF(READYFOR)より引用させていただいています。
https://readyfor.jp/projects/kisai130744