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企業視察レポート vol.1
丸山製作所様「グローバル市場でのブランド戦略」

2024年6月、弊社のクライアントである株式会社丸山製作所様のタイ工場への視察と取材にお伺いさせていただきました。同社はポンプとエンジンをコア技術にして、主に農林業機械、工業用機械、防災関連機器の製造・販売をしているメーカーであり、2025年に創業130周年を迎えられる企業です。現在、中期経営計画でも海外での売上を伸ばしていく計画をされている同社ですが、17年前からタイに進出し現地での製造・販売を行っており同社の成長を支えています。

MARUYAMA MFG (THAILAND) CO., LTD.
目次

    質問1:海外拠点をタイに選定した理由

    まず始めに、何故タイを進出先として選ばれたかをお伺いしました。色々と理由があるなかでも以下の要素が大き
    かったようです。

    ・親日で政治的にも安定していること、文化的にも日本と類似している点が多いこと
    ・同業他社で既に展開している会社もあること
    ・東南アジアのハブになっているので部品メーカーも多く出てきていること

    他にもインフラ面での安定性もタイを選んだことのポイントだったとの事です。

    質問2MARUYAMA MFG(THAILAND) CO., LTD.で製造している製品

    次に製造している製品についてお伺いしました。主な生産品目は、2サイクルエンジンを搭載した草刈機、背負動噴、ポンプやブームスプレーヤ等を製造。マシニングセンターも設置し、主力エンジン部品等も内製化を進められております。2024年からは、日本からの製造移管を更に進められて、月産30,000台の大台にも乗ったそうで、今後益々の
    拡大を期待されています。

    世界各国に輸出される2サイクルエンジン刈払機
    会社のエントランスに飾られていたタイ工場創業13年目、月産20,000台を達成した時の記念写真。
    従業員のモチベーションUPにつながっています。

    質問3:価格は高くても品質で選ばれるMARUYAMA製品

    マーケットについてお聞きしました。タイの市場では地元ローカルのメーカーや中国や台湾メーカーの安価な製品であふれています。そんな中、価格で対抗しようとしてもかなわないので、品質で勝負をされています。台湾や韓国製品に比べて5割~7割高いMARUYAMA製品。それでも売れる理由は「絶対に壊れない」信頼性だといいます。 新品を販売する以前より、現地の中古市場でMARUYAMA製品が流通しており、そこで「絶対壊れないMARUYAMA製品」というブランド認知ができてきたとの事。まだまだ安い製品を求めるユーザーが多いといいますが、長い目でみるユーザーからのMARUYAMA製品への信頼はどんどん拡大しており、新品も売れる環境になってきていると言います。

    現地のニーズにもMARUYAMA MFGの品質で対応し実績と信頼を構築されています。
    (MARUYAMA MFG (THAILAND) CO., LTD. ホームページより)

    質問4製造スタッフのマネジメントについて

    そのように品質の高い製品づくりを支えるスタッフのマネジメントについて伺いました。基本的に大事にしていることは日本と同様に、社是である「誠意をもって人と事に當ろう」を徹底して浸透させているとの事です。「誠意」という言葉も、ただそのまま伝えようとしても難しく、理解してもらうのには苦労されているそうです。
    まずは5Sの中でも最も重要な2S(整理・整頓)を徹底して教育をされました。何かミスやトラブルがあった時には、ミスをしたスタッフと何故そのミスが起ったのか原因追及をし、ルールを逸脱したことをしていた場合は、そのことが後工程でどのような苦労が発生しているか等説明するなどして、「誠意をもった仕事」の重要性を根気よく伝えていっているそうです。
    タイの労働市場では転職することがステータスと考える方が多く、定着率が低いことも苦労された点だとか。最近では入社する際に、当社では一緒に長く働く意思のある方を求めているという事は説明されているそうです。一方的に指示命令だけするのではなく、皆の意見に真摯に耳を傾けることを大事にされており、1on1ミーティングなども重ねているとの事です。
    また、タイ人はお祭り好きな気質もあるので、年に1回開催するスポーツDAYでは毎年オリジナルTシャツをつくり、社員が色んなスポーツに参加し一体感をつくっているそうです。特にサッカーは大人気スポーツで一番盛り上がる競技だそうです。そういった取り組みを通して、定着率も向上しているとの事でした。

    日本の本社と同じように社是を掲示されている。
    働きやすさを考慮し工場内の空調エリアを拡張。生産性が大幅に向上されました。

    質問5販売について

    タイ工場で製造された製品の多くは日本へ輸出されますが、現地での販売も増加しています。販売は販売会社である
    ASIAN MARUYAMA(THAILAND)CO., LTD.が担われており、日本と同様に直販ではなくディーラーへの販売がメイン。ディーラーからエンドユーザーの元へ販売されるという商流になっています。
    タイではSNSの影響が大きく、ほとんどのディーラーで、独自に動画などを用意してSNSで発信されているそうです。それを見たユーザからの反響で販売されることが多いとの事で、日本のように気になった商品を一度見に行って、というようなプロセスはあまりないようです。そうなると販売のポイントは有力ディーラーへアプローチして、自社製品をディーラーのSNSで取り上げてもらう事。ディーラーと商談するとかなりの確立で取り扱ってもらえる事もあり、地道なディーラーアプローチが有効とのこと。タイの国土面積は日本の約1.4倍ありますが、少数精鋭のスタッフで車を使って全国行脚されているそうです。

    スコールが降ると道路は冠水して川のようになるところも。日本のお守りをつけ、ドライバーも安全運転に徹します。

    質問6今後の展望

    今後の展望についてお聞きしました。日本と同じベクトルをもって「誠意をもって人と事に當ろう」、に共感してもらい、その結果「次も丸山」を実現する志をもった仲間をもっと増やしていきたいと、益々の成長を目指されています。また、タイ国内で売れる商品を開発して、タイ人社員にもその喜びを共有したいという展望もお聞かせいただきました。

    まとめ取材の振り返り

    お話をお聞きした中でも、新型コロナウィルスの影響でサプライチェーンが崩れ、社員のコロナ感染、日本へも帰国できない中、何とか製造するんだという強い意思のもと、乗り越えられてこられたエピソードは強く印象に残りました。それは結果的に現地社員との絆につながり、昨今の生産台数の増加にもつながっているものと推察します。それも、社是「誠意をもって人と事に當ろう」を体現すべく、そこで戦ってこられた強い人間力によるものが大きいと感じました。社是は念仏ではなく、行動で示すもの。それに国境はない。現地に根差したMARUYAMAは益々発展されると感じました。

    以下の皆さまにお話しをお伺いいたしました。
    株式会社丸山製作所 常務取締役 石村 孝裕様
              執行役員 経営企画室長 鈴木 健一様
              量販店営業部長 永見 研太様
    MARUYAMA MFG(THAILAND)CO., LTD. President 仁田 真也様
    ASIAN MARUYAMA(THAILAND)CO., LTD.  President 納冨 貴徳様

    文責:梅村茂樹

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