クリエイティブディレクターの黒木です。最近、多くの企業の担当者さまから「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」という言葉を聞きます。新聞でも毎日目にするワードですよね。そこで今日は、IoTについてどう捉え、誰にどんなメッセージをデザインに託したら(誰にどんなメッセージを届けるか、どうデザインするか)、より伝わりやすくなるかという話を、普段からクリエイティブに携わる者の観点からご紹介ができればと思います。
B2B IoTの今と課題
「IoT」には色々な説明がありますが、私は“ネットワークと機器をつないで新しい体験ができること”だと思っています。「IoT」の中心には、IPネットワークであるメールやWEB、社内イントラネットなど、今や企業のビジネスインフラとして必須のネットワーク技術があります。さらに遠隔地の工場やビル内にある機器(モノ)をセンサーやプログラム経由でつないでいき、現場の稼働状況を可視化したり、制御・マネジメントできる新しい仕組みがIoTと呼ばれていることが多いようです。
たとえば、機器へのセンサー設置→データ収集・分析→運用効率化・メンテナンス予測といった具合に、稼働状況のモニタリング~コントロールまで“時間”や“場所”にしばられないといった特長があります。また、運用はプログラムにまかせて、効果的に管理できたり、今注目されるAI技術とビッグデータを連動させたりといった取り組みも大手を中心に開発が進んでいるようです。中でも、省エネ化や生産現場で計画的にムダを省くといった成果を出しやすく、導入メリットへのユーザの期待は日々高まっていると聞いています。しかし、一方でIoTをいくら専門的な技術の話として文字や図で説明しても、外観だけではわかりにくいため、専門的すぎてなかなかその先のユーザにうまく伝わらないといった問題によく直面します。
“企業視点”から“ユーザ視点”へ
そこで、IoTが効果的にユーザに伝わるには、ユーザが専門性の高いヒトか、専門ではなく導入判断をされるヒトかを見極める必要があります。つまり、企業の技術視点よりも、ユーザがどんなヒトかを考えるユーザ視点が重要なポイントになります。したがって、企業視点からユーザ視点へ切替えて、メリットやデメリットを伝わりやすく工夫することが、とても大切だと感じています。
複雑なことをシンプルに
次の観点は、企業さまのむずかしい技術の理解よりも、その技術を使って実現できる新しい体験を知り、ユーザが感情移入しやすく、わかりやすくするために、どう表現でサポートできるかを考えます。たとえば、技術論の前に導入前後のシミュレーション比較で成果を見える化したり、生産性向上や効率化に新しい解をだせる可能性を文章や図にしたりといった具合に・・・。ともすれば複雑になりがちな技術の話から、その先に生まれる新しいユーザ体験という観点に切り替えて企業の方といっしょに差別化できる訴求ポイントを探し、シンプルに表現することで伝わりやすくなるかなと思っています。
“技術の革新”から“技術で革新”へ
最後に、企業の担当者さまと「IoT」のPRや販売促進をいっしょに取り組むとき、“技術の革新”を表現するステージから“技術で革新”できる“新しい体験”を表現するステージにすることで、ユーザの行動を後押しする“ビジネスの核心”が伝わるんだな、とあらためて確信させていただいています。これからも、そんな観点を大切にしながら企業さまの価値がユーザに伝わるよう、デザインのチカラで挑戦していきたいと思います。