グローバル市場で「自社価値」を正しく伝えるために必要なこと
DCDの上平です。「海外からの引き合いをさらに増やしたい」「海外各地の販売力の一層の強化が喫緊の課題だ」企業規模、業種、業態を問わず、ここ数年、あらゆる日本企業がグローバル市場での更なる売上拡大を目指しておられます。反面、ブランディング活動やマーケティング・コミュニケーションは上手ではない、という話を海外の方々からよく耳にします。折角の素晴らしい製品やサービスが何故伝わらないのか?これまで多くの企業のブランディング活動をお手伝いしてきた事から見えてきた改善のポイントを、3回に渡りご紹介します。
第1回/御社の見え方、各地でバラバラになっていませんか?
「グローバル・デザイン・マネージメント」
アップルやスターバックス、ハーレーダビッドソンなど、ブランディングに成功している企業は、「全てのタッチポイントで一貫して同じ印象を与えるデザインの提供」を忠実に行っています。B2Cに限らず、B2Bにおいても、ブランディングがしっかりしている企業は、Webサイト、カタログ、製品パッケージ、展示会、各種イベント、工場見学時のサインなどが、どこの国に行っても同じ見え方で統一されています。これは、デザインマネージメントが、しっかりなされているためで、大きく以下3つのステップで実現しています。
- 深い顧客調査から自社のコアバリュー(顧客が求め、自社が応えている中心価値)や深層イメージを明らかにする。
- 調査結果から「コアバリュー」を感じてもらうための、コンセプトワードやカラー、イメージなどを定義する。
- 社内、社外向けのブランディング戦略を策定し運用可能なものにする。
上の表にある多くの欧州企業は、上記の「定義」がきちんと出来た上で、計画的に管理されています。残念ながら、多くの日本企業が、まだ、「中心価値」「コンセプトワード」「イメージ」が、誰もが納得できる形で、きちんと定義されていない状況にあります。この事が各国で納得感が得られない事につながり、結果、統一性のない各種販促ツールやデザイン展開に陥ってしまっています。ここでのバラバラ感は、ボディブローのように、営業活動にも響いてしまうのですが、そもそも、こうなってしまう原因の多くは、上記1)の深い顧客調査を全く行わない、もしくは、アンケートや簡易な聞き取り調査だけで済ました為に、顧客(や社員)が、「無意識に感じる“当社らしさ”」を把握しないままに、コンセプトワードやカラー、製品ロゴなどを“とりあえず”で決めてしまうことにあります。
また、表の横軸にあるように、各国ローカルの各種販促ツールや展示会などのコミュニケーションツールを、本社側とローカル側のどちらが管理するのかも、日常よく揉める点ですが、縦軸のデザインマネージメントが、しっかり定義され、管理可能、さらに状況に応じた最適化まで図れるようになれば、横軸は、各社の状況や特性に合わせて、運用し易い方法を選ぶ事が可能になります。つまり、本社管理か、ローカル独自に任せるか、その中間か、を議論する前に、当社のデザインマネージメントは、競合他社に比べてどのレベルにあるか?を調べて改善を図る方が、まず必要です。
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