前回までの記事では、ミッション・ビジョン・バリューとインナーブランディングについての説明を行いました。第3回では、ブランディングの戦略について詳しくお話しします。どのように戦略を立てるのかが決まれば、実際にブランディングのプロジェクトを推進していくことができます。プロジェクトの目的を定め、定量調査と定性調査をおこないながらブランディングを成功させていきましょう。
- 目次
ブランディング戦略のおさらい
ブランディング戦略に関して振り返ってみましょう。以前、ブランディング戦略の意味として「ブランディングを始める前に、一体どんな課題があり、それをどのプロセスを行うことで解決ができるのか見定め、戦略を作ること」と定義しました。
また、ブランディングに取り組もうした時、すべての企業が同一のプロセスや内容で行えるというわけではありませんでした。企業の状態によって、ブランディングの戦略の観点は異なります。
初めてブランディングを行う企業
【フェーズ1】プロジェクト設計、【フェーズ2】現状理解、【フェーズ3】ブランドコアの定義、【フェーズ4】具体化と実行、【フェーズ5】効果検証と改善という5つのプロセスがあり、その後【フェーズ4】具体化と実行と【フェーズ5】効果検証を繰り返す必要があります。
ブランドのコアが明確でなく、ブランドとしてのビジョンや志が見える化されていないのであれば、【フェーズ1】からの取り組みが必要です。
ブランドの定義はされているが、社内に浸透ができていない企業
社内・社外浸透が不十分だと課題が明確な場合は、必ずしも【フェーズ1】〜【フェーズ3】のブランド定義フェーズを行う必要はありません。【フェーズ4】でインナーブランディングの見直しを行うことが重要です。
社外へ適切に伝える内容・手段が決まっていない企業
【フェーズ4】でアウターブランディングが必要となります。
このようにブランディングを始める前には、一体どんな課題があり、それをどのプロセスを行うことで解決ができるのか見定め、戦略を作ることが重要です。
他社との差別化を行うために必要なブランディング戦略
ブランディングを行うにあたり、プロジェクト設計ですべき3つのことがあります。
- ブランディング・プロジェクトの目的/ゴール策定
- ブランディングにより解決すべき課題
- ブランディング・プロジェクトの進め方
この中で、1と2の設定にあたってはブランドオーナーへのヒアリングを行うことが必要不可欠です。その理由はブランドには、「志」と「継続する強い意志」が必要となるためです。
ユーザーにとってどんなブランドでありたいか?という志は、ブランドオーナーの思いなくして成り立ちません。そして、プロジェクトの中では抽象的な議論が発生することもあります。その際、強い意志を持って決断できるメンバーが必要になるのです。
戦略立案においては、「何をするか」を決めることも大事ですが、それ以上に「何をしないか」を決めることはもっと大切です。特にブランドにおいては「あれも、これも」だと個性が際立たなくなり、他社との差別化が難しくなります。
際立ったブランドにするためには、不要な要素をそぎ落とした「尖った」ブランドになることが必要で、そのためには「選択と集中」が必要となります。
消費者に認知してもらうブランド戦略とは?
ブランドは相手の頭の中にある、ということをこれまで強調してきました。もし自社で勝手に「これが自社のブランドだ」と考え、メディアなどで発信してしまうと、伝わらないどころか、顧客が離れていくリスクさえあります。
ブランディングにおいては徹底的に顧客視点であることが肝心です。「顧客が求めるゴールは何なのか?」「顧客が理想に思うブランドはどのようなものなのか?」「顧客が感じているブランドイメージは?」「顧客はどのような経験を通じて自社のイメージを形成したのか?」「顧客は自社と競合のイメージの違いをどう捉えているのか?」――というように、あらゆる問いにおいて顧客を主語にして考えることで、共感を生みやすいブランド構築が可能となり、それが消費者からの認知、そして最終的に顧客ロイヤリティを高めることにつながるのです。
ブランディング戦略とはユーザーとの約束をどう実現していくか
数年前から「パーパス経営」という言葉を耳にするようになりました。パーパスとは、目的や意図を意味する英語ですが、パーパス経営で言う「パーパス」は「存在意義」を意味します。2018 年に世界有数の資産運用会社、ブラックロックのラリー・フィンク会長兼CEO が投資先企業の経営者に宛てた年次書簡が注目に至ったきっかけと言われています。
日本の研究者では、一橋大学ビジネススクール客員教授の名和高司氏が有名で、『パーパス経営』(東洋経済新報社、2021 年)という著書を出しています。その中で21 世紀は資本主義ではなく「志本経営」の時代だと述べ、「志」すなわち未来への約束の重要性を説いています。つまり企業がユーザーに対してどんな約束をしているかが企業の存在意義であり、その存在意義がユーザーにどれだけ響いているかがその企業の価値もしくは付加価値を決めるということなのです。
ブランドも同様で、「ユーザーに何で期待されたいか」「どんな人を救いたいと思っているのか」「どんなことで社会を良くしたいのか」などといった強い志があるかどうかが、支持されるかどうかの別れ目になってきています。このようにしっかりとした土台を作るためにも、ブランディング戦略は欠かせないのです。
ブランディングの戦略の成功事例
ここからは、実際にどのようなブランディング戦略の事例があるのかをご紹介します。
ターゲットを究極に絞ったマツダのブランディング「2%戦略」
1990年代前半、マツダはブランドを増やし販売店ごとに取り扱いブランドを分ける「多チャンネル化」を実施しました。しかしこの戦略は振るわず、販売台数は減少。対策として値引き販売を実施しますが、新車の価格が安くなったことで下取り価格の大幅な値崩れが起こり、顧客はマツダに下取ってもらうしかなく、次の自動車もマツダでの購入を強いられる負のスパイラル、「マツダ地獄」に陥ってしましました。
そこでマツダはこの状況を打開しようと新たに「2%戦略」を行いました。これは当時マツダの世界シェアが2%程度であったのに対し、そのシェアを拡大するのではなく、既存の2%にあたるファンに強く共感してもらえる自動車、ブランドを作っていこうという指針でした。
その内容は、新型開発前に世界から5人の熱狂的なファンに意見を聞くというもの。通常メーカーが製品開発のために行うヒアリングであれば、数千人にも及ぶサンプルを対象とした定量的なアンケート調査や定性的なインタビューを行いますが、マツダはこのどちらの手法も取らず、5人の熱狂的なファンに綿密なヒアリングを実施したのです。
2%のファンから共感を得るために行ったこの取り組みは大成功し、現在もマツダの主力製品となっているデザインと機能性に優れた「アテンザ」セダンが生まれました。
熱狂的なファンを生み出すスノーピークのブランディング戦略
キャンプ用品メーカーのスノーピークは、1998年にオートキャンプにおけるライフスタイルの原型を世界で初めて提唱したブランドです。スノーピークは「SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビーグル)を走らせ、自然の中で豊かな時間を過ごすためにキャンプをしましょう」という新たなキャンプスタイルを提案し、それに見合う製品を提供してきました。
アウトドア業界は1993年をピークに2009年までは市場縮小の一途を辿っていたにも関わらず、増収増益を続け、成功し続けています。これは「スノーピーカー」という熱狂的なファンがいたからです。この熱狂的なファンを作るため、スノーピークは圧倒的に高い商品力と、顧客との関係づくりに力を入れてきました。
商品力が高ければ、口コミで製品の良さが広まります。ではこの商品力を高めるために必要なものはなんなのか?それは徹底的な顧客目線です。スノーピークには代表を始め、全社員が大のアウトドア好きで、採用の際にもキャンプ愛好家しか採用しないそうです。そんな人たちが商品を開発するため、自然と顧客の目線で考えることができ、結果として質の高い製品が生み出されるのです。
ブランドと顧客との関係性の近さも特徴的です。スノーピークの社員と既存顧客が一緒にキャンプを楽しむ「スノーピークウェイ」というイベントがその代表的な例です。メインのイベント「焚き火トーク」では、アウトドアの楽しみ方や製品について様々な話を行うことで既存顧客との距離が縮まるだけでなく、ユーザーの本音をもとに製品の改良につなげたりと、様々なメリットがあるのです。
このような取り組みが成功の鍵となり、スノーピークに熱狂的なファンが存在し続け、それによって成長し続けるブランドとなっています。
ブランディング戦略の失敗事例
実際にブランディング戦略に失敗してしまった企業も多く存在します。続いては、ブランディング戦略の失敗事例にどのようなものがあるのかをご紹介します。
自社視点でブランドコアを決定した大塚家具
自社視点だけでブランドのコアを定めたことが失敗につながってしまった大塚家具の事例をみてみましょう。
元々大塚家具は「高級家具」のブランドでした。会員制によってプレミアム感を演出し、行き届いた密着営業を行なってきました。大塚家具の顧客は「お得意様扱い」にブランドとしての価値を感じ、ファンとなっていきました。
この路線は創業者である大塚勝久氏が敷いたもので、その結果2001年12月期には営業利益がピークを迎えました。しかしその後、住宅需要の低迷や、ニトリ・IKEAなどの新興勢力の台頭があり、業績が低迷。2009年に勝久氏が社長から会長に退き、長女の大塚久美子氏が社長に就任しました。
久美子氏は、勝久氏が打ち立てた高級家具という路線を「受付や接客に抵抗を感じる」「価格が高そう」といったイメージを顧客に与える、と問題視し、このままではニトリやIKEAに勝てないと判断。そして、気軽に入店でき、自由に選ぶことができ、値段は中価格帯で、気軽に単品買いができる店舗を目指すことにしたのです。
ここで重要なのは、久美子社長は顧客が喜んでもらえると自分なりに考え、路線変更をしたということです。実際に、この路線変更により、10年来減り続けていた来客数が増加に転じ、業績も一時的に回復しました。
しかし、この路線変更はブランディングの観点からは悪手だったといえます。なぜならこの結果、大塚家具はニトリと比較され、「従来の大塚家具よりは安いが、ニトリと比べたらかなり高い」中途半端な存在と捉えられるようになってしまったのです。これは、今まで大塚家具ブランドを支持してきた顧客が受け入れられるものではありません。一方で、ニトリやIKEAを支持している顧客がこの路線変更で大塚家具に来店するとは思えません。来客数は一時増加しましたが、顧客もこれでは単に「高いニトリ」だということに気づいてしまったのです。
久美子社長の最大の失敗は、競合をニトリやIKEAと定め、自ら同じ土俵に入り込んでしまったことでしょう。そうなると差別化競争になってしまい、価格競争力で分の悪い大塚家具には勝ち目はありません。顧客視点とは、顧客が喜ぶことを想像することではありません。「顧客が、顧客の頭の中で本当に期待する価値」を見出し、その期待に応えることがブランディングであり戦略なのです。
パッケージの変更で売上減少を引き起こしたトロピカーナのリブランディング戦略
オレンジジュースで有名なトロピカーナ。みずみずしい果物にストローが刺さったパッケージが有名ですが、2008年により現代的な外観にするため5000万ドル以上の費用をかけてパッケージを大幅に変更しました。新しいデザインでは見慣れたオレンジの果実がなくなり、グラスに入ったオレンジジュースに。ロゴも従来のクラシックなフォントからよりミニマムなフォントへ変更されました。
しかしこのリブランディングから2ヶ月、トロピカーナの売上は20%にあたる約3000万ドルの減少に。わずか2ヶ月でトロピカーナは従来のデザインに戻すことを発表しました。
この原因は、今まで慣れ親しまれてきたクラシックなデザインをトロピカーナは過小評価しており、「モダンであると思われたい」という気持ちからリブランディングをおこなってしまったことにあります。つまり、顧客目線が疎かになり、顧客を置き去りにするようなブランディングになってしまったのです。
ブランドは顧客が頭の中でイメージするものであるため、そのイメージから大きく変わってしまうようなリブランディングになっていないかを十分に確認し、取り組むことが重要です。
ブランディング戦略の方法と立て方
それでは実際にどのようにすれば優れたブランディング戦略を立てることができるのについて解説していきます。その前にブランディング戦略の種類から見ていきましょう。
ブランディング戦略の種類
ブランディング戦略、と一口に言ってもサステナブルブランディング戦略・サービスブランディング戦略・企業ブランディング戦略など、実はさまざまな種類が存在します。
最もイメージしやすい会社/企業ブランディングはもちろんですが、新しい商品や新サービスの提供価値がわからない、サステナビリティに対してどのように取り組むかを新たに考えなければならないなど、さまざまな背景があり、それら一つ一つにブランディング戦略が考えられます。課題に対してどのように戦略を立てればいいのか、その詳細をここからご紹介します。
ブランディング戦略の手順
ブランディング戦略の大きな流れは【フェーズ1】プロジェクト設計、【フェーズ2】現状理解、【フェーズ3】ブランドコアの定義、【フェーズ4】具体化と実行、【フェーズ5】効果検証と改善という5 つのステップとご説明しました。
この流れをさらに詳細化したのが、次の図です。
【フェーズ2】現状理解フェーズでは、自社理解、顧客理解の2つの視点からブランドコアとなるヒントを得ていきます。
次の【フェーズ3】ブランドコアの定義では、ブランドコアの定義とブランドの世界観の定義の2つのフェーズがあります。
続く【フェーズ4】具体化と実行では、インナーブランディングとアウターブランディングの2つのフェーズがあります。この2つは互いに関係し合うため、並行して考えることがポイントです。「社外に言っていることと、社内に言っていることが異なる」ことは、ブランディングでの最も大きな失敗要因となるからです。
ブランディング戦略の手順【フェーズ1】 プロジェクト設計
まず初めにプロジェクト設計を行い、下記を明確にします。
- ブランディング・プロジェクトの目的/ゴール
- ブランディングにより解決すべき課題
- ブランディング・プロジェクトの進め方
また、プロジェクトの体制を決定し、どのようなメンバーで実施するのかを考えます。そしてキックオフを実施します。
ブランディング戦略の手順【フェーズ2】 自社・競合・顧客・社会を理解する
キックオフを行いプロジェクト設計が完了したら、次は現状理解に移ります。現状理解では、自社・顧客・社会・競合の4つの視点から自社らしさのヒントを得ていきます。
なぜ、4つの視点が必要なのでしょうか。理想のブランドの姿として、まず自社のありたい姿と、顧客からの期待が重なる部分がブランドコアの候補になります。その上で、競合が提供していない独自のものが理想のポジショニングとなります。そのひとつの重なる点を目指し、自社、顧客、従業員、社会環境および競合他社について深く知る必要があるのです。
【フェーズ3~5】ブランドコアの定義、具体化と実行、効果検証と改善
現状理解を十分に行ったら、次はブランドコアの定義を行います。前ステップまでに行った現状調査を受けてブランドを改めて定義し、それを社内外へ浸透させるための準備を行うのが、本ステップになります。
ブランドのコアが定義されたら、いよいよ発信・浸透、すなわちブランドの展開を行っていきます。ブランドの展開については、インナー・ブランディングとアウター・ブランディングの2 種類があります。まずインナー・ブランディングを進めていき、ある程度社内に浸透してからアウター・ブランディングを始めるという段取りが理想的なシナリオです。
それらのブランディングの取り組みが始まり、一定期間が経過した頃に成果を測定すると、ブランディングを推進する上での指標として大いに役立ちます。
手法としては、ユーザーリサーチが主となります。こうした数値をもとに毎年、定点観測を行いながら、どういった取り組みが評価されているか、より強めるべき取り組みは何かを再考し、新たなアウター/インナー・ブランディングの取り組みを推進していくことが重要です。
自社・競合・顧客・社会の理解を行うための4つの方法
ではここからは、【フェーズ2】で紹介した現状理解を行うための具体的な4種類のアプローチを紹介します。
- 自社のありたい姿を探索する
- 自社を取り巻く外部環境を理解する「PEST分析」
- 自社の強みと機会を理解する「クロスSWOT分析」
- 競合と比べた自社の強みや弱みを理解する「3C分析」
2〜4はマーケティング領域でも有名なフレームワークであり、精度を追求すればどこまでも詳細に調べることができます。しかし、あくまでも「自社を客観的に理解する」ことが目的ですので、可能な限りの実施で構いません。ブランディングの領域においては、特に大切なのは「1 自社のありたい姿を探索する」になります。というのも、2〜4の分析を自分たちで行う際、どうしても自分たちの視点からの分析になりがちであり、実態とズレが生じていることがあるからです。
方法① 自社のありたい姿を探索する
自社のありたい姿と言っても、簡単に一言で言語化するのは難しいのが当たり前です。そのヒントとなる項目は以下の通りで、これらの観点から、自社らしさにつながる要素を抽出していくのがコツです。
- 会社の存在意義として捉えているもの(パーパス)
- 会社としてありたい姿(ミッション/ビジョン)
- 会社として大切にしている価値観/ DNA(バリュー)
- 会社としての強み/他社との違い
- 顧客から見た現状の会社のイメージ/社員から見た社風
そしてさらに、この要素抽出のための手法には下記の方法が有効です。
- 経営者インタビュー
- 社員へのアンケートやワークショップ
- 既存の理念体系、ロゴ、各種メッセージの収集およびこれらに込められた意味の把握
- 社内報やユーザー会誌、広告など社内外向けの各種発行物の収集および調査
方法② 自社を取り巻く外部環境を理解する「PEST分析」
自社のあるべき姿を考える際には、社会からの要請を理解することが欠かせません。その第一歩として自社を取り巻く環境を把握・理解することが必要であり、それを可能とするフレームワークが「PEST分析」です。
PEST分析 とは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字を取った言葉で、外部環境をこの4 つの観点から理解しようとするものです。
詳細な観点は図に示した通りです。自社のブランドに何が影響するのか、どんな変化が求められているのか?の視点を得ることが大切です。
方法③ 自社の強みと機会を理解する「クロスSWOT分析」
「SWOT分析」とは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取った言葉で、その名の通り、強み・弱み・機会・脅威の4 つを漏れなく挙げることで自社の現状を分析する手法です。
このうち強みと弱みはその事業自身が持つもので「内部環境」と呼ばれます。また機会と脅威は社外から与えられるもので「外部環境」と呼ばれます。たとえば、前項のPEST分析のうちP、E、S は外部環境の要素になり得ます。T は社内で持っているものは内部環境になり得ますし、そうでなくこれから普及していくような技術は外部環境に当たります。SWOT分析を列挙するだけでも、考察の材料にはなりますが、それだけでは戦略や方針にはなりません。そこで内部環境と外部環境をかけ合わせて分析し、自社の戦略や方針を考察するフレームワークとして、「クロスSWOT 分析」が登場しました。
内部環境も外部環境も2つずつありますので、かけ合わせると4つの考える観点が生まれます。具体的には、次の通りです。
方法④ 競合と比べた自社の強みや弱みを理解する「3C分析」
市場を理解するためのフレームワークとして代表的なものが「3C分析」です。3C とは、Customer(顧客・市場)、Company(自社)、Competitor(競合)の3 つのC を意味しています。
市場には、この3 つの登場人物がおり、それぞれを理解していないと市場を理解していることにはならないという考え方に基づいています。
さらに詳しく調べるのなら、「4C分析」も効果的です。
4Cとは顧客の購買意思決定に影響を与える4つの要素「顧客価値(Customer Value)」「価格(Cost)」「利便性(Convenience)」「コミュニケーション(Communication)」の4つのCを意味しています。4C分析では、その4つを顧客側の視点で捉え、市場調査を行い、各項目の分析を行っていきます。
初めに設定したプロジェクト設計と、これらの現状理解をヒントに、P-MVVを設定し、ブランドのコアとなる「ブランドメッセージ」を作成することで、より明確化されたブランドへと近づくのです。
まとめ
今回の記事では、ブランディング戦略について詳しくお話ししました。ユーザーの頭の中に浮かぶ、共感を得るブランドとなるためにはさまざまな訴求方法が必要ですが、どのように取り組めばいいのかわからない、という状態に陥ることも多いのではないでしょうか。
そんな時にこの記事が参考になれば幸いです。
【参考文献】
『手にとるようにわかる ブランディング入門』(金子大貴著、 一色俊慶著)
『パーパス経営』(東洋経済新報社、2021 年)
GLOBIS知見録:ターゲットは絞れ!共感を得よ!マツダの2%戦略に学ぶ
https://globis.jp/article/2196
ファンマーケティング成功事例|スノーピークから学ぶ熱狂的なファンの作り方
https://nakaeshogo.com/fanmarketing-case/
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