
「企業のブランディングは何から始めればいい?」
「ブランド構築で成功するためには、どういった戦略が必要なのか?」
このような疑問を持っている経営者やマーケティング担当者の方も多いのではないでしょうか。
企業のブランディングは、ただロゴやキャッチコピーを作るというだけではなく、全体的な戦略が必要です。
この記事では、企業のブランディングの概要や種類、活用できるツールなどをまとめました。後半では、ブランディングの手順や成功事例もご紹介します。自社のブランディングにお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
ブランディングとは

まずは、ブランディングとは何かを基礎から説明します。
- ブランディングの概要
- ブランディングの目的
- ブランディングの重要性
- マーケティング、PRとの違い
ブランディングの概要
ブランディングとは、企業や製品の個性を定義し、そのイメージを構築したり、管理したりするプロセスのことです。
わかりやすく言えば、「企業や製品に対して、魅力的なイメージを常に持ち続けてもらう努力」の総称です。ブランド確立やブランド構築と呼ばれることもあります。
ブランディングにより、企業や製品が顧客に対してどのような印象を与えるか、どのように認識されるかをコントロールできます。ブランディングは、自社のブランドを認識させ、他社との差別化を図るための重要な戦略です。
関連記事:「ブランディング」とは何なのか
ブランディングの目的
ブランディングの目的は、以下の3つの要素に集約されます。
- 顧客の認知度向上…ブランドを通じて、顧客に自社の製品・サービスを認識させる。
- 信頼と共感の構築…ブランドに対する顧客の信頼度を高め、共感を得ることにより、長期的に良好な関係を築く。
- 競争力の強化…価格競争が激しい市場で、自社ならではの価値を提供し、他社と差別化する。
ブランドイメージが定着していれば、製品やサービスが自社商品であると瞬時に認識してもらえます。
また、ブランドに対する信頼度が深まれば、発信内容を顧客に受け入れてもらいやすくなります。長期的に良好な関係を築けるようになるでしょう。
市場での競争では、自社ならではのブランドを確立し、他社との差別化を図ることが欠かせません。
関連記事:企業がブランディングに取り組むべき理由とは?各手法や流れもあわせて解説 | Blog
ブランディングとブランドエクイティ
ここで知っておきたい概念として、ディビッド・A・アーカー名誉教授が提唱したブランドエクイティがあります。
ブランドエクイティとは、顧客や取引先、社会全体がブランドに対して持つ無形の資産価値のことです。具体的には認識や感情、印象、忠誠心など可視化できない価値が積み重なって、ブランドエクイティが形成されます。
ブランドには形がありません。それゆえブランドエクイティが、ブランドの強さや価値を示す指標となります。言い換えれば、ブランディングの成果を評価する、重要な経営資産の一つです。
その価値の向上によっては、有形資産以上の長期的な収益を生み出す可能性があります。企業がブランディングの目的を果たすために欠かせない概念として理解しておきましょう。
マーケティング、PRとの違い
活動・取り組みの種類 | 目的 |
ブランディング | 対象者に自社が望むイメージで想起してもらうこと |
マーケティング | 対象者に製品の良さやベネフィットなどの情報を発信し購買につながる仕組みを作ること |
PR | 事業内容などの公共的価値を大衆や関係方面によく知ってもらい、その信頼・協力を強めようとする宣伝広告活動 |
ブランディングと混同されやすい活動に、マーケティングやPRがあります。
ブランディングは、対象者に自社が望むイメージで想起してもらうための活動です。一方、マーケティングは企業が顧客に対して、ブランドや商品、サービスの価値を届け購買につなげるための活動です。
また、PRとは、企業やブランドのイメージを広く発信する宣伝活動のことです。 つまり、ブランディングが顧客からのイメージの確立を目的としているのに対し、PRでは顧客との関係構築を目的としているという違いがあります。
ブランディングの種類

以下では、ブランディングの種類を解説します。
- 企業ブランディング(コーポレートブランディング)
- インナーブランディング
- アウターブランディング
- 製品・サービスブランディング
- 採用ブランディング
- サステナブルブランディング
- BtoBブランディング
- BtoCブランディング
それぞれの特徴を見ていきましょう。
企業ブランディング(コーポレートブランディング)
企業ブランディング(コーポレートブランディング)は、企業のコアコンピタンスを含む企業価値、コアを定義し、将来の展望や自社が社会にどのように貢献するかを考え、取組を継続して実行していくことで、ステークホルダーに、自社が望むイメージで想起してもらうための継続した取り組みです。
弊社では企業ブランディングのご支援も行っています。自社、顧客、社員が求める「コア」を見出し、策定〜浸透施策の検討まで伴走します。詳しい内容は以下よりご覧ください。
▶コーポレートブランディング を詳しく見る
インナーブランディング
インナーブランディングとは、社内に向けたブランディングのことです。企業の理念や価値観をまずは社員に浸透させ、組織内でブランドの一貫性を理解・共有するための活動です。
一般的に企業ブランディングでは、まずはインナーブランディングを、その後にアウターブランディングに着手します。社員が自社のブランドを深く理解し、その価値を日々の業務に反映させることでブランドの一貫性が保たれます。
関連記事:インナーブランディングとは?
アウターブランディング
アウターブランディングは、社外に対するブランディングのことです。企業が目指すブランドイメージや価値を社外のステークホルダーに発信し、浸透させるための取り組みです。
その企業にしかない無形の財産を表現し、顧客満足度のアップを図ります。例えば、プレスリリース、ブランドブック、ブランドムービー、CM、展示会などは、全てアウターブランディングにあたります。一貫したブランドイメージを持たせ、企業の競争力を強化するために欠かせない活動です。
製品・サービスブランディング
製品・サービスブランディングは、特定の製品やサービスの価値を高め、顧客に認知してもらうための取り組みです。
例えば、商品に使うロゴやパッケージのデザイン、キャッチコピーの作成などは製品・サービスブランディングにあたります。
弊社が製品・サービスブランディングに携わった例として、NTTドコモ様の「ブランド開発「OREX」」があります。オープンな無線アクセスネットワーク「Open RAN」のサービスブランド発表に向けて、ロゴ製作、ブランドメッセージやタグライン、ネーミング、キービジュアル、ガイドラインなど、一連のブランド開発を支援しました。
BtoB市場での製品ブランディングを成功に導くために、弊社では「製品&サービスブランドプロモーション」を提供しています。詳しい資料は、以下よりダウンロードください。
採用ブランディング
採用ブランディングとは、求職者に対して自社の価値を伝え、魅力的な企業イメージを構築するための取り組みです。企業理念や企業文化が求職者に共感されることで、より自社にマッチした人材を確保しやすくなります。
求職者が企業の価値観に共感し、自社で働きたいと思ってくれれば、採用もスムーズに進むでしょう。
詳しくは「求職者をファンにする」採用ブランディングの考え方とは をご覧ください。
また、弊社では企業ビジョンを叶える人材を採用する「ビジョンマッチ採用」を提供しています。サポート内容は以下よりご覧ください。
▶ビジョンマッチ戦略策定支援 を詳しく見る
サステナブルブランディング
ステナブルブランディングとは、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを通じて、ブランド価値を高める取り組みのことです。
環境への配慮や社会貢献活動などをブランディングの一部として位置づけ、価値を伝えることが目的です。サステナビリティへの積極的な取り組みは、企業のブランドイメージの向上につながります。
弊社では、Sustainability Brand Transformation (SBX)を提供しています。これは、サステナビリティの視点で企業経営のリブランディングを支援するソリューションです。
▶Sustainability Brand Transformation (SBX) を詳しく見る
BtoBブランディング
BtoBブランディングは、BtoBビジネスにおけるブランディングです。企業が他の企業に対して自社の価値を伝え、信頼関係を構築するための取り組みです。
BtoB市場では、製品やサービスの特徴はもちろんのこと、ポジティブなブランドイメージが大きな競争力となります。ブランドが確立されれば、製品やサービスの指名買いも期待できます。
関連記事:私たちが手がけるBtoBブランディングの考え方とステップ | Blog
BtoCブランディング
BtoCブランディングは、BtoCビジネスにおけるブランディングのことです。企業がユーザーに対して自社のブランドを構築し、その価値を伝えるための戦略的取り組みです。
BtoCブランディングでは、ブランドの核となるメッセージや価値観を一貫して伝えることが重要となります。ユーザーがそのブランドに感情的に共鳴できるような体験を、いかに提供できるかがポイントです。
ブランディングによるアウトプット

ここからは、企業ブランディングに活用できるツールをご紹介します。
- デザインクライテリア開発
- ブランドストーリー策定
- キャッチコピー・タグライン開発
- ブランドロゴ策定
上記の発信
- 映像
- Webサイトリニューアル
- SNS
- 広告
- 展示会
- イベント
など各種
デザインクライテリア開発
描いて欲しいイメージやブランドのトーン&マナーなど、ビジュアライズされた自社のブランドイメージを定義し、クライテリアとして定義します。CIやVIのような明確な定義を行う場合やとムードボードのようにイメージビジュアルを共有するために1枚のビジュアルにまとめたりアウトプットは様々ですが、言葉だけでなくビジュアル化してブランドとして伝えたいイメージを策定しておくことも大切です。
ブランドストーリー策定
自社が目指す姿やブランドに込めた思い、今後どうなっていきたいか、社会にどんな影響を与えたいかなどMVVやパーパスを文章化し、世の中に発信することで自社の取組への強化度を高めることができます。
ブランドコンセプトコピー・タグライン開発
ブランドコンセプトコピーとは、想起させたいイメージやブランドを一言で伝えるメッセージです。デザインクライテリアと同期し、ブランドストーリに込めた思いや自社らしさなどをワンフレーズでまとめることで、人々の記憶に残り安く、ブランドイメージを想起させるのに有効です。
キャッチコピーは商品の魅力などを限定的に短期的に訴求する為のコピー、タグラインやコンセプトコピーは企業や製品のコンセプトを体現する言葉や文章にて、比較的長期に渡って使用されます。
強力なコピーはユーザーにブランドの印象を強く残し、製品やサービスを記憶に定着させます。
ロゴ
ロゴは企業や商品の象徴であり、ブランド認識を強化するための重要なツールです。例えば、Appleのリンゴの形をしたロゴや、McDonald’sの「M」のマークなどをイメージするとわかりやすいでしょう。
ブランドのアイデンティティを反映したロゴはユーザーに瞬時に認識され、理念や価値を効果的に伝えます。
キャラクター
オリジナルキャラクターも、さまざまなシーンで活用できるブランディングのツールです。キャラクターは製品やサービスの顔としてユーザーに親近感をわかせ、感情や共感を呼び起こします。
例えば、楽天グループの「お買いものパンダ」やドン・キホーテの「ドンペン」です。ユーザーにとって、魅力的で覚えやすい存在となっています。
パンフレット
パンフレットは、企業の理念や製品情報についてまとめた印刷物です。店頭はもちろん、展示会や商談などのシチュエーションでも配布できます。
取引先や顧客に対して、企業の価値や提供する製品・サービスをわかりやすく伝えることを目的としています。
スポンサード
スポンサードとは、企業が特定のイベントや個人、団体を支援することです。自社のブランドを広めたり、イメージを向上させる取り組みです。
例えば、スタジアムやイベント会場などで看板広告を掲示したり、ネーミングライツを取得したりする方法があります。
マス広告
マス広告とは、テレビや新聞、雑誌などのマスメディアを利用した広告のことです。広範囲の層に対してリーチできるため、認知度を一気に高められるのがメリットです。
特定のターゲットに絞ることなく、不特定多数のユーザーに向けたブランディング活動に向いています。
Webサイト・オウンドメディア
Webサイトやオウンドメディアは、自社の情報を発信できるプラットフォームです。発信内容は自社で自由に決められるため、ブランドのストーリーや製品情報まで詳細に伝えられるのがメリットです。
また、自社で管理するため、デザインやコンテンツもすべてコントロールが可能です。効果を出すためには専門知識やノウハウが必要ですが、現代においては欠かせないツールのひとつとなっています。
SNS
SNSによるブランディングでは、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、TikTokなどを活用してブランドメッセージを広めます。
SNSは、ユーザーとの双方向のコミュニケーションを取れることが特徴。リアルタイムで企業や商品に対するフィードバックを受け取れます。SNSを活用することで、ブランドの認知度を高め、ファンとの関係を深めることができます。
関連記事:SNSブランディングとは?成功事例から学ぶ戦略と効果的な活用方法 | Blog
イベント・セミナー・展示会
自社のブランドを直接ユーザーに伝えるために、イベント、セミナー、展示会を開催する手法もあります。企業の製品やサービスを実際に体験してもらうことが、ユーザーと良好な関係を築くきっかけとなります。
関連記事:バーチャル展示会とは?特徴や開催メリット・デメリットもあわせて紹介 | Blog
企業がブランディングをする6つのメリット

以下では、企業がブランディングをする6つのメリットをご紹介します。
- 競合との価格競争から脱しやすくなる
- マーケティングコストが下がる
- 社員のモチベーションが上がり、優秀な人材活動がしやすくなる
- 顧客ロイヤリティの向上につながる
- 社員のコンプライアンス意識が高まる
- 資金調達がしやすくなる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 競合との価格競争から脱しやすくなる
独自のブランド価値を確立することで、企業は価格競争に巻き込まれにくくなります。
ブランドが確立すれば、顧客は価格以外の要素で自社を選ぶようになり、価格を上げても支持される可能性が高まるためです。強いブランドは、顧客から製品の価格以上にその価値を認めてもらえるため、価格競争から脱却しやすくなります。
2. マーケティングコストが下がる
ブランドが確立されてしまえば、顧客獲得のための広告宣伝費を削減できます。口コミやSNSなどを通じての拡散力が高まり、顧客側でのシェアも行われるようになるためです。
顧客がブランドを認知して信頼を寄せるようになれば、企業の宣伝活動の効果はより高くなります。結果、マーケティングコストをカットできます。
3. 社員のモチベーションが上がり、優秀な人材を獲得しやすくなる
企業理念に共感する社員が増えることで離職率が低下し、日々の業務の品質も向上します。また、魅力的な企業理念は多くの人材を惹きつけ、自社のニーズにマッチした優秀な人材を確保しやすくなるメリットもあります。
社員が自社のブランドに誇りを持ち、働く意欲が高まることで、企業全体の成長も促進されるでしょう。
4. 顧客ロイヤリティの向上につながる
一貫したブランドイメージやメッセージを提供することにより、顧客の信頼を得やすくなります。ロイヤルティの高い顧客はリピート購入を行うだけでなく、他の潜在顧客に対してブランドを推薦してくれる可能性があります。
顧客がブランドに対して持つ信頼や愛着は、企業の長期的な成長に欠かせません。
5. 社員のコンプライアンス意識が高まる
確立されたブランドイメージを守るために、社員のコンプライアンス意識が高まることもメリットです。ブランド力のある企業の社員は、一般的にコンプライアンス意識があり、モチベーションも高くなりやすい傾向になります。
社員一人ひとりが法的リスクの軽減や社会的信用の向上などの意識を持つことで、より企業の信用も高まるでしょう。
6. 資金調達がしやすくなる
強いブランドは企業の財務的な価値を高め、投資家や金融機関からの評価も向上させます。そのため、ブランド価値が高い企業ほど資金調達がしやすくなるでしょう。
資金調達ができれば、事業拡大や新規プロジェクトへの投資がしやすくなります。さらなる成長への道を辿れるようになるでしょう。
企業がブランディングをするデメリットと失敗を防ぐ対策

続いて、企業がブランディングをするデメリットと、失敗を防ぐ対策をご紹介します。
- コスト・時間がかかりやすい
- 効果の測定が難しい
それぞれ詳しく見てみましょう。
1. コスト・時間がかかりやすい
ブランディング活動には、多くの費用と時間がかかります。広告費、デザイン費、マーケティング戦略の策定のための費用に加え、社員のリソースも割かなければなりません。
特に中小企業にとっては、これが大きな負担となることがあります。コストを抑えるためには、ブランディングの戦略を明確に策定し、優先順位をつけて投資を行うことが大切です。
最も効果的なチャネルやツールを選定し、戦略的に投資を集中させることがカギとなります。また、マーケティングを実施することで、低コストで広範囲にアプローチする方法も検討しましょう。
2. 効果の測定が難しい
ブランディングをしても短期の売上に直結しないため、定量的な成果を測定するのが難しいことがあります。特に、ユーザーの感情や認識の変化を数値化することは簡単ではなく、投資対効果を評価しにくくなることがあります。
対策としては、ブランドの認知度や顧客ロイヤルティなど、具体的な指標(KPI:重要業績評価指標)を設定することがポイントです。KPIに基づき評価を行い、定期的にブランディングの効果を測定して改善を重ねましょう。
企業ブランディングの手順

続いて、企業ブランディングの手順を詳しくご紹介します。
- 目的を設定する
- 現状を分析する
- ブランドコアを定義する
- ブランディングを実施する
- 効果検証と改善をする
目的を設定する
まず、プロジェクトの目的とゴールを明確に設定しましょう。ブランド戦略を通じて最終的に達成したい目標を定め、その方向性に沿ってプロジェクトを進めることが重要です。
目的がしっかりしていれば、各工程での判断基準も明確となり、優先順位もつけやすくなります。「現状の事業の課題は?」「ブランディングの活動で実現したいことは?」といったことを、まずしっかりと考えましょう。
現状を分析する
ブランディングの目的を決めたら、現状分析を行います。現状分析では、以下の4つの視点から自社らしさのヒントを得ていきます。
- 自社理解…自社の強みと弱み、社風、企業理念、提供価値などを分析
- 顧客理解…顧客のニーズ、行動、ブランドイメージ、自社に対する期待などを分析
- 競合理解…競合他社の強みと弱み、戦略、ブランドポジショニングなどを分析
- 社会環境理解…政治、経済、社会、技術といった外部環境を分析(EST分析などを用いる)
ブランドコアを定義する
ブランドコアとは、ブランドの核となる価値観やアイデンティティのことです。ブランドコアを明確に定義することで、一貫性のあるブランディングが可能となります。
- P-MVVの策定…企業の存在意義(パーパス)、使命(ミッション)、将来像(ビジョン)、価値観(バリュー)の明確化
- ブランドベネフィットの定義:…顧客にとっての機能的、情緒的、自己表現的な価値を定義
- ブランド世界観の定義…ブランドに触れた時に顧客に感じてほしいイメージを明確化
上記は企業内の人間の思いがベースとなるため、社内メンバーにおけるワークショップ形式で議論を重ねながら作り上げていきます。
ブランドのコアの定義の完成をもって、ブランドコンセプトの決定となります。
ブランディングを実施する
ブランドコンセプトが確定したら、インナーブランディング / アウターブランディングに移ります。具体的なプロジェクトの進め方や、担当者の役割なども細かく決定しましょう。
マーケティングチームやデザインチーム、経営陣が連携して企画を実行に移します。そして、各ツールやチャネルを活用してブランドイメージを届けていきます。
効果検証と改善をする
ブランディング活動を実施した後、一定期間が経過したら、効果を検証することが重要です。効果検証には、Webサイトのアクセス数、SNSのフォロワー数、顧客満足度調査の結果、売上などの指標を使用します。
検証結果に基づき、必要に応じてブランディングの戦略や活動内容を修正し、改善を図ります。
関連記事:ブランディングの方法・手順とは? | Blog | 株式会社大伸社コミュニケーションデザイン
企業ブランディングの成功事例
ここからは、企業ブランディングの成功事例をご紹介します。海外企業と日本企業に分けて、ブランディングに成功した事例をまとめました。
中小企業から大手企業・有名企業まで、興味深い取り組みをしている具体例を取り上げたので、参考にしてみてください。
海外企業の事例
海外企業の事例として、「テスラ」と「ザッポス」のブランディングをご紹介します。
テスラ
テスラは、モデルS、モデルX、モデル3、モデルYなど排気量ゼロの環境に優しい電気自動車(EV)を提供する企業です。専用の充電スポット・スーパーチャージャーが日本全国に50か所、デスティネーション チャージング施設が200か所以上あり、どこでも充電できる利便性の高さも特徴です。
テスラではイーロン・マスクCEOの「持続可能なエネルギーへ、世界の移行を加速させること」というミッションをブランドストーリーとして活用し、顧客の信頼を築きました。従来の社会モデルに従う形ではなく、世界に変化をもたらすことを中心としたブランディングの事例です。
ザッポス
ザッポスは、アメリカのラスベガスに本社を構える、靴のネット通販企業です。ザッポスは顧客との関係を重視し、「ワオ!と言わせるサービス」を提供しています。
送料・返品無料、何度でも返品可能、可能な限り翌日配送など、EC業界の常識を覆す販売戦略を打ち出しました。カスタマー・ロイヤルティ・チーム(CLT)による「神対応」は多くの感動的なエピソードを生み、熱狂的なファンを獲得しています。
その結果、「新規顧客獲得の43%がクチコミ」「顧客のリピート率は75%」という驚異的な数字を達成しました。
日本企業の事例
日本企業の事例として、「ヤンマーホールディングス株式会社」と「愛知ドビー株式会社」のブランディングをご紹介します。
ヤンマーホールディングス株式会社
ヤンマーホールディングス株式会社は、農業機械や建設機械、エンジンなどを製造する総合機械メーカーです。創業100周年を迎えた2012年、グローバル市場でブランディングを進めるためにリブランディング施策を実施しました。
具体的には、世界的なデザイナーである佐藤可士和氏に依頼し、以下の3つの取り組みを行いました。
- 新しいシンボルマークの作成
- 農機具など新商品の開発
- 農作業ウェアのデザイン
これらの施策により、日本・アジア圏の農機具、と欧米圏の高級船舶のエンジンなど、エリアによって異なっていた企業イメージを統一させました。世間に対して、共通のブランドイメージを構築することに成功しました。
愛知ドビー株式会社
愛知ドビー株式会社は、老舗鋳造メーカーです。町工場から世界最高の製品を作りたいという思いで、自社製品「バーミキュラ」を開発しました。バーミキュラは、ステンレス製の鍋とホーロー加工した鋳物の鍋の長所を兼ね備えた、高性能な鍋として知られています。
同社は「暮らしをかえる鍋」というブランドメッセージを掲げ、一貫したブランド戦略を実施しました。その結果、バーミキュラは高級鍋市場で強いブランドを確立し、累計30万個以上(2018年時点)の売上を記録する大ヒット商品となりました。
大伸社コミュニケーションデザインの事例
最後に、弊社、大伸社コミュニケーションデザインが手がけたブランディングの事例をご紹介します。
三菱マテリアル株式会社様

超硬製品などの製造・販売を行う三菱マテリアル株式会社様では、企業全体のリブランディングを実施しました。
弊社では、ユーザー調査からビジョン・ミッション・ブランドコンセプト・ブランドメッセージの策定をサポート。その後、メッセージを浸透させるためのインナー / アウターブランディングまでご支援しました。
アウターブランディングでは、ブランドロゴ作成・各種規定の策定から展示会のデザイン、Webリニューアル、各種ビジネスツールまで幅広くリデザイン。インナーブランディング用の各種ツールも制作しています。
KLASS株式会社様

畳製造・壁紙施工の省力化機器、厨房機器・各種メカトロ機器を製造販売する総合FAメーカーKLASS株式会社様の事例です。2021年から2023年にかけて、CI(コーポレート・アイデンティティ)再構築プロジェクトを実施しました。
弊社でご支援をしたのは、企業理念の策定から新社名への変更、それに伴うサイトのリニューアル、ブランドブックの制作等です。事業拡大に向けた新たな歩を踏み出すタイミングに合わせて社名を変更し、ロゴとともに各種ツールへ展開しました。
企業のブランディングなら大伸社コミュニケーションデザインまで
本記事では、企業のブランディングをご紹介しました。
ブランディングでは目的設定や現状分析、ブランドコアの定義など、初期にどれだけ基礎を組み立てられるかが成功のカギとなります。しかし、自社にノウハウのない状態でブランディングの確立を成功させることは難しいものです。
そのため、ブランディングやリブランディングは、プロのアドバイスを受けながら進めることがおすすめです。
企業ブランディングにご興味をお持ちなら、株式会社大伸社コミュニケーションデザインにご相談ください。
弊社は、以下を通じて、クライアントのビジネスを支援しています。
- トータルなコミュニケーションデザインの提供
- ユーザーインサイトの重視
- クリエイティブなチーム
- 先進的なVR・AR技術の活用
- インナーブランディングの実施
これらの強みを活かし、企業のブランド価値を高めるための効果的な戦略を展開しています。
また、御社の顧客、御社社員のインサイトを把握し、思いをくみ取ることを大切にしています。御社のコアをつくるブランディングプロジェクトを、ブランドコアの策定〜浸透施策の検討まで。コンサルティングだけでなく、施策の実現まで伴走します。
今なら、ビジネス成長を加速させる「実践型コーポレートブランディングガイド」を、無料でDLして頂けます。ぜひ、以下よりご利用ください。
【無料ダウンロード】ビジネス成長を加速させる 実践型コーポレートブランディング はこちら