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書籍レポート_広告業界への問題提起『広告がなくなる日』

こんにちは。プランナーをしております、伊藤です。

今回は最近の自分のテーマの一つ、ブランディングの書籍をレポートとして紹介します。株式会社DEの牧野圭太氏の著書『広告がなくなる日』からの、感想や学びです。

『広告が無くなる日』牧野圭太(著)

https://www.amazon.co.jp/dp/4295403911

 

Is this meaningful?(それって意味あるの?)

この本のテーマを一言で伝えると「meaningful」だと、私は解釈しています。

広告だけではなく、あらゆる制作物はmeaningfulでなければ効果的ではない。好き嫌いなどの主観的な話ではなく、近い将来meaningfulではないプロダクトや広告は経済的にも効果を発揮しないとあります。

広告において、過去と現在、日本と世界、などを比較し事例をふまえて上記の内容を語っています。

例えば、ある少女の像がきかっけで新たに301人の女性が取締役になった「Fearless Girl」は女性の社会進出において大きな意味を発揮しました。

https://www.huffingtonpost.jp/2018/12/16/fearless-girl-devika-interview_a_23619837/

着られなくなった大切な服を黒に染めて、新しい大切な服へと変える「KUROZOME REWEAR FROM KYOTO」は、サスティナブルな経済活動において意味を持っています。

https://www.k-rewear.jp/

ゲームチェンジ

「意味」の重要性が向上した背景には、生活者の環境の変化が大きく関与します。

月並みの表現ですが、SNS(個人の拡散力)が広告の起点となっています。これはマス広告の時代が終了した、ということではありません。SNSを起点として、webメディア→マスメディアへと波及することが一般的になり、デジタル上においてとても有機的(人間的)であること、またその一連において人々が共感をしています。

SNSを起点とした広がりが実現できるのは、テクノロジーの賜物。ほんの10年前では想像もしなかった事象です。また、このテクノロジーに対して、消費者やメディア関係者を含めて経験値が上がってきたことで、マス広告一発ドカンで売れる時代から、個人の共感の集合体が経済効果を発揮する時代へとゲームチェンジしました。

そして、個人の共感において「意味」が関与する幅は大きく

・このプロダクトは、私にとって意味があるのか?

・このプロジェクトは、社会にどのような意味があるのか?

・このジャーナリズムは、はたして私の子どもたちに何かしらの意味を与えるのか?

など、無意識のレベルで自問し、ポジティブな答えを見出した時に生まれるのが共感。はじめてひとりの人に情報が届いた、と言えます。この届いた瞬間=自己実現欲求を満たした自分をイメージ。嬉しくて、なんだか周りの人にも伝えたくなる(シェア)のだと思います。

〇〇 for ads → 〇〇 for branding

さて、このゲームチェンジの時代にどんな手段が取れるのか?

筆者が提案しているのが「〇〇 for ads」。

広告としてのプロダクト、広告としてのアクティビズム、広告としてのジャーナリズムなど。特に企業と社会の接点の領域において、どのような課題を解決できるのか。解決方法は企業や課題によって異なりますが、企業だけではなく社会との接点で行動することがポイントになります。

そして、単体として「〇〇 for ads」をストックするのが企業やブランド。一連の「〇〇 for ads」の集合としてのブランディングが近い将来求められる社会になるのだと感じています。

業務に活かす:Is this meaningful?

本文の書き出しの戻ってしまいますが、常に「meaningful」かどうかを意識することは業務でも活かせることかもしれません。

また、問の立て方次第で、大きく答えやアウトプットにも変化がありそうです。

どのような意味があるのか?/どのような意味を加えるべきなのか? /どんな意味がいらないか? などなど。

 

案件にもよりますが、少なからずこういった需要が増えてくることが見込まれます。そして何より、日頃から「意味」にまつわる思考を巡らせることで、仕事だけでなく自身の暮らしも豊かになっていくのではないでしょうか。

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