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【BIT VALLEY 2019】セッションレポート

こんにちは、ユニット6の後藤です。

先日、『BIT VALLEY 2019』というイベントに参加してきましたので、そちらの内容をご紹介したいと思います。『BIT VALLEY』とは、若手のエンジニア、クリエイター向けに毎年開催されているカンファレンスイベントで、スピーカーセッションやワークショップ、懇親会などを通して、テクノロジーやデザイン、マネジメントに関する情報の収集や交換をすることができるイベントです。今年は9月13日と14日に開催され,、当日も学生を中心に多くの方が参加していました。今回は、その中でも特に印象的だった二つのセッションのレポートをお送りしたいと思います。

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【ITトップによるトークセッション】

こちらのトークセッションでは「ITトップが考えるモノづくり対談」と題して、ヤフーCEOの川邊氏、LINE取締役CSMOの舛田氏、ディー・エヌ・エーCEOの守安氏、著作家の山口周氏による対談が行われました。当日は、奇しくもヤフーによるZOZO買収発表の翌日ということで、冒頭から川邊氏にはその話題が振られていました。川邊氏はヤフーがeコマースのシェアでは、国内3位に甘んじている中で、eコマース、特にIT企業があまり得意としていないファッション分野を強化していくために、今回の買収に踏み切ったと答えられていました。また、企業文化に個性があることも、その決め手として挙げられていました。隣で涙を流す前澤氏を見て、いつか訪れる自身の引退後のことに思いを馳せたそうです。

いずれの方も、ITの黎明期から最前線で活躍されてきた方たちであり、どのお話も非常に興味深い内容でしたが、その中でも印象的だったトピックスや意見を挙げたいと思います。

・これまでのネットサービスは、ネットだけで完結するものが多かったが、これからはリアルの世界や物と絡めて、どう活用していくかが重要になってくるのではないか。

・ITを活用して、こんなことやあんなことができるようになるのではないかと、20年前にみんなが考えていたことが、最近まともに実現してきた感じがする。(IoTなどを踏まえての発言)

・IT業界はプレイヤーが固定されてきて(寡占化が進んできて)閉塞感があったが、最近、IoTやXRなどが出てきて、再びカオスが始まりつつある。そこから誰が勇気を持って飛び出すかが重要。

・○○屋(レガシーな業界、つまり昔からある業界の老舗企業のこと)がやるネット事業は、ネット屋(IT、ベンチャー企業のこと)がやるネット事業にすべて負ける。

・ネット屋は○○屋と思考法が違う。同じ言語で話せない。

・ネット屋はより本質的で、こだわりがない。○○屋の人はいろいろと背負いすぎていて、摩擦が多い。

・(ゲームについて)合議制でみんなで話し合って納得して作ったゲームは、それほど大きな成功を納めない。場外ホームランになったゲームは、制作、承認時にものすごく意見が割れたゲーム。

・○○屋がネット事業を始めるときは、絶対に失敗してはいけないという考えがあるから、誰も当事者になりたがらない。日本企業は減点方式で、バツが付いた人が降ろされる企業文化がある。加点方式にするべき。

・実際には大手企業であっても、3分の2の新規事業は失敗している。

・外してはいけないという考えからの一手は、どこかに保険をかけていたりする。どれだけ失敗を許容するかが大事。

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これらの話の中でも、個人的に考えさせられたのは、新規事業の多くは失敗するという話と、日本の人事評価は減点方式という話です。Amazon創業者のジェフ・ベゾスも、両親に創業資金への投資を依頼したとき、70%の確率ですべて失うと両親に伝えていたそうです。※ 人は多分に確率的な事象を、属人的なものや、因果関係による物語として過大に評価してしまいがちなのかもしれません。ジェフ・ベゾスの能力や功績は疑うべくもありませんが、ジェフ・ベゾスがジェフ・ベゾスたりえたのはあくまでも結果であり、成功した一人のジェフ・ベゾスの裏には、成功しなかったジェフ・ベゾスが何人もいたのかもしれませんね。

※Brad Stone (2013) “The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon” Little, Brown and Company

【アイデアの20年】

こちらはnendo代表でデザイナーの佐藤オオキ氏と、POPEYE編集長の松原亨氏によるトークセッション。「アイデアの20年」と題して、ここ20年の家具や日用品のデザインの概括が行われ、フィリップ・スタルクやドローグデザイン、スーパーノーマルなどが紹介されました。その話の中で、特に印象的だったのは佐藤オオキ氏の次のようなコメントです。

・最初は使いにくいが、一度慣れるとこれなしではダメとなるものと、とっつきやすいけど、飽きやすいものがある。そのバランスが重要ではないか。

・デザイナーは斬新なものを求められるが、最近はデザイン案を出すと、クライアントに斬新すぎると言われることが多くなった。

・最近は、クライアントにデザイン案のアピールポイントをプレゼンするよりも、一緒に批評することが多くなった。

・デザイン案をクライアントが批判しやすい空気を作ったほうがいい。批判が出ないと後々、社内検討したがダメだったと言われることが多い。

・自分のデザイン案を自分でディスりまくると、かえってクライアントにフォローされる。

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セッションの最後には、佐藤オオキ氏の最近の仕事が紹介されました。面白かった話としては、番組の企画で、カルピス好きなマツコ・デラックスのために制作した、グラスの話がありました。そのグラスは、傾けても自立するグラスで、傾けてからカルピスを注ぐことで、適量を計ることができるというものです。しかし、普段、マツコ・デラックスは2リットルのペットボトルを使って、カルピスをすごく薄めてがぶ飲みしているので、いまいちな反応だったそうです。デザインの敗北だと語っていらっしゃいました。

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